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【2017/09/23 03:50 】 |
蜘蛛草紙:2
充と名付けられた蜘蛛童は、里山を駆け回り、少女と共に成長していった。

里に暮らす土蜘蛛の、他の蜘蛛童達と同じ様に育ち、やがては土蜘蛛としてこの里の一員となる。

それは、少女が毎日のように聞かせる話だった。




「大きくなって、繭の中で、私達と一緒の形になるの」



笑顔でそう話す。



「そうしたら、もっと一杯遊べるね。そうだ、充が土蜘蛛になったら、一緒に街へ行こう?」



街というのは、里を大きくしたものだという。

土蜘蛛だけではない――人間が沢山おり、一杯の食べ物と、両手に溢れるほどの玩具。

立ち並ぶ家々、美しい町並みと、豪華に着飾る貴人達。



「そうして、いずれは女王様に会いに行くの。お供はあなたよ、充。最初に育てた、私の弟」



未だ蜘蛛童である充は連れて行けないと、少女は言う。

だからお預けよ、と。





充が繭へ入るまで数週と迫った頃。

少女は里の蜘蛛達と街へ下りていった。

もう何度目になるのか、蜘蛛童の頭ではきちんと数えられていない。

季節が数度巡り、巡る毎に街へ行くといい少女は姿を消し――数日の後、戻ってきた。

だから充は待った。

もうすぐ自分も街へ行ける。土蜘蛛となった時、この目で、少女と共に、人の作った街を見る事が出来るのだ。





ひとつ。





ふたつ。





みっつ。





日が昇り沈み、充が並べた小石が七つを数えた時――里が騒がしさを見せた。



成長した土蜘蛛の若者達が、不釣合いな程大きな鎧を片腕に纏わせる。

巫女達が弓を手に、筒を背負い走り出す。



戦。



土蜘蛛を快く思わない人間の手による、蜘蛛狩り。

街へ向かった里の者が戻るのに併せた奇襲。

街へ向かっている間、手薄になるはずの里を襲わずに、この時期を選んだのは唯一の理由。





皆殺し。





山賊という皮を纏って現れた人間達は、統制の取れた動きで次々と蜘蛛を殺し、火を放ち、里を赤く染めていく。

充は走る。燃え盛る家の中を、火の粉舞い散る路地を、人間に見つからぬように物陰を選び、その本能に基づき走る。

少女を探し、がさがさと走る。



里の中央で、街へ向かった一団を見つけた。少女は未だ無事だ。

しかし、人間に囲まれ、全滅は必死。ならば、する事は一つのみだ。

火の手の上がる家々を攀じ登り、充は人間達目掛けて飛び降りる。

勢い良く糸を吐き広げ、集団を覆い尽くすように、糸と共に降り注ぐ巨大な蜘蛛。

人間達の気勢を削ぎ、軽い混乱を引き起こすのには十分だった。



囲いを突破する里衆。

良かった、後は逃げ切りさえすれば少女は生き延びる事が出来る。

そう思い、里衆の方をぼんやり眺めると――



「充!」



少女が、こちらへ走ってきた。

すぐ近くの人間が、刀を少女へと振り下ろす。





くるくると弧を描きながら、腕が一本、千切れ飛んだ。











































結論から言うと、充は生き延びた。

少女を突き飛ばした際、刃をその身に受け、八本ある腕を一つ失ったのみで。

その後死力を尽くした戦いの末、人間は全滅。里の者も数名を残すのみとなった。

生き延びた里の者は、再度の戦いを避ける為に里を捨て山へ入る。

谷底に交互に巣を作り、一人を伝令に出して回復と救出を待つ日々。



やがて巣の中で、充は人の形を取り始めた。

腕を一本亡くした蜘蛛童は――鋏角衆として、人の姿を得たのだった。





七日臥して待ち、七本腕となった蜘蛛童。

鋏角衆となった時、七つの痣は薄く消え、七星の名は継げず。



故に七臥。七度主の喪に服し、七足の名残を身に纏う。鋏角衆、七臥・充の昔語り。
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【2008/01/20 04:11 】 | 七臥 | 有り難いご意見(0) | トラックバック(0)
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